Monthly Report No.456
第38回全国経済同友会セミナー高知大会 参加報告
2026年4月16日から17日にかけて、高知県において「第38回全国経済同友会セミナー高知大会」が開催された。本大会は「幸せの国創りは土佐の山間より ~ウェルビーイングな日本を目指して~」を総合テーマに掲げ、経済成長中心の価値観からの転換を見据え、個人の幸福や社会の持続性を軸とした新たな経営・地域づくりの在り方について議論が行われた。
本大会では、ウェルビーイングを単なる理念としてではなく、「測定」「実践」「危機対応」という複数の側面から捉える構成となっており、各セッションを通じてその多面的な重要性が示された。
基調講演では、近代資本主義が前提としてきた「欲望の充足による成長モデル」の限界が指摘され、デジタル化やグローバル化が進展する現代においては、富のルールそのものが変化しているとの認識が示された。これからの社会においては、経済合理性だけでなく、心の充足や社会的つながりを含めたウェルビーイングを重視する方向への転換が不可欠であるとの問題提起がなされた。
続く各セッションでは、ウェルビーイングの具体化に向けた議論が展開された。第1セッションでは、幸福度を可視化するための指標づくりや調査の重要性が共有され、ウェルビーイングは「測ること」自体が人々の意識を変える契機となることが示された。また、第2セッションでは、ブータンのGNH(国民総幸福)をはじめとする事例を通じて、個人の幸福を起点とした経営や地域づくりのあり方が提示され、「居場所」と「舞台」を創出することの重要性が強調された。
こうした流れを受けて、2日目に行われた特別講演では、ウェルビーイングの実現に不可欠な要素として「レジリエンス(回復力)」の観点が提示された。講演では、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災といった我が国の大規模災害の歴史を踏まえ、災害は単発の事象ではなく、地震・津波・火災などが連鎖する複合災害であることが強調された。また、事前の備えに加え、発災後の初動対応によって被害を大きく軽減できることが示され、防災・減災の取り組みは継続的かつ実践的であるべきとの指摘がなされた。
この特別講演の内容は、その後に続く第3セッションと強く連動するものであった。第3セッションは当会が担当し、「生命・財産を守る防災減災」をテーマにパネルディスカッションが行われた。本セッションでは、ウェルビーイングの前提として「命と生活の安全」が確保されていることの重要性が改めて確認され、防災は行政のみならず企業にとっても重要な経営課題であるとの認識が共有された。
登壇したパネリストからは、東日本大震災や熊本地震の実体験を踏まえた具体的な事例が紹介された。特に、災害は「想定外」ではなく「必ず起こるもの」として備えるべきであり、企業は従業員とその家族の命を守る責任を負うとともに、事業継続や地域社会の維持という役割も担う必要があることが強調された。また、実際の被災現場においては、日常的な防災訓練や事前準備が迅速な避難行動や早期復旧につながり、結果として被害の軽減に寄与したことが示された。
さらに、災害時には企業が地域の生活インフラとして機能し、物資供給や生活支援を通じて地域社会を支える存在となることが指摘された。このことから、防災・減災は単なるリスク対応ではなく、企業の社会的責任と持続性に直結する重要な経営課題であるとの認識が共有された。
このように、第3セッションは大会全体のテーマであるウェルビーイングに対し、「安全・安心」という基盤的要素を提示するものであり、精神的・経済的な豊かさに加え、「生き延びる力(レジリエンス)」の重要性を明確に位置付ける内容であった。特別講演で示された災害の現実とレジリエンスの必要性を受け、企業経営の実践としての防災・減災に議論を具体化した点において、本大会の中でも極めて意義深いセッションであったといえる。
最後の総括では、経済指標の向上のみを追求する経営から、人の幸せを中心に据えた経営への転換の必要性が改めて示された。企業は成長を目指す一方で、従業員一人ひとりが「居場所」と「役割」を実感できる環境を整えることが重要であり、ウェルビーイングは企業価値向上の基盤であるとの認識が共有された。
本大会を通じて、ウェルビーイングは理念にとどまらず、測定・実践・危機対応を含む総合的な経営課題であることが明確になった。特に当会が担当した第3セッションは、その基盤となる「安全・安心」の重要性を示すものであり、今後の活動においても防災・減災の視点を組み込んだ取り組みが求められることを強く認識する機会となった。
例会DIGEST
PPPの視座による
持続可能な
まちづくりの戦略
~仙台圏における都市開発の
課題と展望~
宮城大学 参与・名誉教授・特任教授
風見正三 氏
今回は「大崎市中心市街地復興まちづくり計画」の推進など、様々なプロジェクトや都市計画に取り組まれてきた都市計画家、風見正三氏を講師としてお招きしました。
PPP(Public Private Partnership)とは、公共施設等の建設や維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るものです。風見氏は、日本の都市の課題や直面する危機などを提示し、仙台圏の持続可能な都市開発にも産官学民の連携が重要であると述べ、戦略的なプラットフォーム「仙台未来共創機構(仮)」を提案。サステナブルプロジェクトマネジメントなどに関する教育機関「地球共創大学院大学(2028年4月開校予定)」との連携についても提言されました。さらに「防災環境都市×共創経営=『仙台モデル』」とし、「皆で知恵を出し合って、美しい仙台を世界に冠する理想都市として発信してまいりましょう」と、呼びかけられました。
【略歴】
都市計画家。社会起業家。宮城大学 参与・名誉教授。とうほくPPP・PFI協会 会長。一般社団法人地球共創学園設立準備会 代表理事。宮城県建築審査会長。みやぎ景観アドバイザー。滋賀県立大学 客員教授。長野大学 客員教授。教育テック大学院大学 特任教授。専門 都市計画・地域経営・環境政策。コミュニティビジネス。持続可能な地域創造学。学歴 日本大学大学院理工学研究科海洋建築工学専攻 修了。東京工業大学大学院総合理工学研究科環境理工学創造専攻 博士後期課程 修了。英国ロンドン大学政治経済大学院(L.S.E)都市地域計画学修士課程 修了。英国ロンドン大学理工医学大学院(Imperial College)経営学修士コース 修了。学位 博士(工学)東京工業大学 2007年。理学修士(都市地域計画学)ロンドン大学1992年。経営学修士 ロンドン大学 1993年。職歴 1984年4月 財団法人日本ダム協会研究部研究員。1987年4月 大成建設(株)開発本部。2008年4月 宮城大学事業構想学部 教授。2016年4月 宮城大学事業構想学部長兼事業構想学研究科長。2019年4月 宮城大学理事兼副学長(研究・地域連携・産学連携担当)。2020年9月 宮城大学理事兼副学長(研究・学術情報・地域連携・産学連携・国際交流担当)。図書館長、最高情報責任者(CIO)。2021年4月 研究推進・地域未来共創センター長(兼務)。2025年4月宮城大学・参与・名誉教授・特任教授。2025年6月 一般社団法人地球共創学園設立準備会代表理事。
新入会・交替会員紹介
会員総数357名(2026年5月15日時点)
入会(1名)
会員
岡田 賢悟 様
三井住友信託銀行株式会社
理事
仙台支店長
交代(7名)
幹事
南 博之 様
株式会社三菱UFJ銀行
仙台支店長
会員
関 貴光 様
近畿日本ツーリスト株式会社
販売部長兼仙台支店長
会員
中井川 薫 様
大和リース株式会社
仙台支社長
会員
伊藤 篤 様
株式会社トークネット
取締役社長
会員
酒井 克己 様
株式会社日本旅行東北
代表取締役社長
会員
加賀田 彰久 様
三菱電機株式会社
東北支社長
会員
家倉 健 様
株式会社リクルートスタッフィング
東日本営業ユニット
ユニット長
※今月の「マイ仙台暮らし」は休載します。